胸がキュンとしたのも束の間に、染谷くんのひと言で事態は急展開に。
「ってか、あそこのベッドで誰か寝てる」
……ドキッ!と、心臓が口から出そうなほど騒いでいた。
……お願い。こっちに来ないで。むしろそのまま蓮を連れて早く保健室から出ていって……。
「ひょっとしてカップルがイチャついてたりして?」
蓮をケガさせた反省なんて忘れて、染谷くんの悪ふざけがはじまった。
「いや、単に具合悪くて寝てるだけでしょ」
さすが蓮……!
「いやいや、怪しいって!先生が出張中の時は決まって保健室はカップルの場所になるんだよ。俺、漫画でそういうの何度も読んだ!」
いや、染谷くんがさらりと少女漫画を愛読しているような発言をしたことも気になるけど、今の問題はそこじゃない。
マズイ。なんだかものすごくイヤな予感しかしない。
「ちょっと覗いてみようぜ」
ほら、き、きた……!
蓮は相変わらず「やめなよ」と止めているのに、染谷くんの足音はどんどんこっちに近づいてきて、私はゴクリと息を飲む。