だけど、私は、知らないフリをした。

「私がいつ、誰に恋するのよ。」
なるべく平然を保つようにして。

「ん?寿喜。」
ぶはっ!
ちょっと愛珠〜!!鋭すぎ。
それでも、私は、この気持ちとは向き合わないように、知らないかのように装った。

「そんなことありえるわけないじゃないの。女子苦手な人を好きになったら、そんなの切なすぎでしょ。」
そうよ。切ない片想いで青春無駄にしたくないもの。

「でもさ、本気で好きなら、そんなの関係なくない?
どうしても、『この人が好き』だって言うなら、何がなんでも振り向かせたいって思うじゃん。」