6時間目の体育のため、
昼休みのうちに、体育館へやって来た。
私たちは、いつものように雑談をし、階段を降りていた。体育館前まで来ると、クラスの蒼也(そうや)が、隣のクラスの寿喜(じゅき)と、騒いでいた。

「ねね!見てみて!また、蒼也たち、騒いでる!!」

「こら〜!!!危ないでしょ!やめなさいよ!」
無駄な正義感の強い私は蒼也たちに、注意した。

「また、怒ってる。」

「さすが、梨恋!」
なーんて、周りからよく言われる。
ただ、お節介焼きなだけなんだけどね。

それが時々裏目に出ることもあるんだけどね。


今日の体育は、マット運動だった。
男子も一緒で、体育館の2分の1を使った。
私たちは、いつもの調子で、遊びながら、授業を受けた。

「じゅっくん、さすが!」

ふと見た。何やら、また、騒がしくしていた。
実技の本を女子の方へ飛ばしていた。

もー!ばかでしょ、全く呆れる!

「ねね?梨恋、寿喜って人、こっち見てるよ??」

ん?ホントだ。なんか用かな?

「りーん!ちょっとそれ取ってくれる?」

は?なんで私が。めんどくさいから、
嫌だよ。

「なんで?自分で取りに来なさいよー!」

「そーだ!そーだ!」
でも、一向に取りに来そうにない。
それどころか、蒼也は、寿喜って人をみて、何やら、話しているみたいだ。

「ねーね、梨恋、あの二人何話してるんだろうね?」
全く、そうよね。わけわかんない。

「まぁ、寿喜って人が投げたっぽいし、無視して良くない?私たちは、開脚前転できるようになろ!」