紅い、小さな飾りがゆれる、シンプルなピアス。

片方だけが、隅に転がっていた。


キッチンから、宮本さんが私を呼ぶ声がする。
ピアスを手に取りながら、私は曖昧に返事をする。


手の中のピアスは、とても小さくて儚い。

シンプルなデザインが、上品で、高価なものだと見てわかった。

いったい、いつからそこにあったのだろうか。


穴のあいていない耳にピアスをあてて、鏡を覗きこむと、かわいた笑いがもれる。