「未来ちゃん!」

と、店の奥から、店長の奥さんの声がした。

振り返ると、ジェスチャー付きで帰れ、帰れと言っている。

「え、でも、まだ時間が」

「いいから!今日はお客さん少ないし。せっかくの水曜日でしょ」

「いつもすみません、じゃあ、お言葉に甘えて連れて帰ります」

「宮本さん!」

「ほら、未来ちゃん。早く着替えておいで」

ほらほら、と私の背中を押して、
奥さんは宮本さんと、勝手に世間話をはじめてしまう。

私はバタバタと店の奥にひっこんで、急いで制服を脱いだ。




「最近、どうですか、未来は」

「未来ちゃん、とても良くやってくれてる。お客さんにも好かれてるし」

「…そうですか」


聞こえてきた会話に、店内に戻ろうとした足をとめる。


「心配しすぎるのも、よくないと思うわよ。気持ちは分かるけど」