『運命の赤い糸』

思春期真っ只中の中学2年生。

私は転入生の君に恋をした。


ー一目惚れーーだった。

でもその事は誰にも言えなかった。

私はその時、別の人の事が気になっていたからだ。

別の人とというのはクラスの大人しめの男子。
その人の名は＜笹本 誠＞

その人は名の通りに誠実な方だった。

みんなの輪には入るものの自分の意見は大して言わずただ見守っている、おばあちゃん的なキャラだった。


私は心の中で自分を強く叱った。

そんな誠実な彼に惹かれていたにも関わらず他の男子に心が揺れるなど最も恥ずべきことだ。と。

しかし…やはり、転入生の彼に目が奪われてしまう。

小さな田舎の学校には滅多にいないイケメン顔。

見た目はクールなのに少し幼っぽくなる笑顔。

誰に対してもある優しさ。

自分の恋心を否定しつつも、1日1日と私は彼に惹かれていった。

しかし、私が転入生の彼に対する自分の恋心を認めることはなかった。

私は何があろうと誠君をずっと好きでいなくてはならない。

私はいつの間にかただ意地で誠の事が好きなふりをしていた。

あったはずの誠に対する恋心は何一つと残っていなかった。