あれからは数日。
私は歩夢くんとすっかり意気投合して
よくふたりで遊ぶまでの中にまで発展した。
歩夢くんは
ご飯を食べに連れて行ってくれたり
買い物に連れて行ってくれたりと
どこにでも連れて行ってくれた。
もうやっていることは
ほとんどそこら辺のカップルと変わりはなかった。
でも私には雄一がいる。
複雑な気持ちでモヤモヤしながらも
雄一とは違う何かを感じた私は
歩夢くんにハマっていった。
この感情は一体なんなのだろうか。
今日は校内ライブの当日だ。
私はというと
こういう日に限って風邪を引いてしまった。
最悪だ。
それも風邪のせいで熱まで出ている。
さらに最悪だ。
私はぼぉ…っとする意識の中で
何としてでもライブを成功させなくてはと思い
自分のキャパを超えてライブを行った。
やはりそれは無理があって
ライブが終わった頃には
風邪が悪化した。
余計に意識が朦朧とするようになった。
さすがに周りも私の異変に気づいていた。
心配する声もあった。
そんな中
1番私のことを誰よりも心配してくれていたのは
歩夢くんだった。
お水を買ってきてくれたり
のど飴を買ってきてくれたり
氷水を作ってくれて
私の首に置いてくれたりと
忙しなく私のために動いてくれていた。
私は朦朧とした意識の中で
歩夢くんがすごくかっこよく見えた。
それと同時に
私のためにここまでしてくれる歩夢くんに
心が動いた。
当の彼氏
雄一に至ってはLINEで
大丈夫w大丈夫ww
歌ってりゃ風邪なんか治るっしょwww
としか言ってくれなくて
心配のひとつもしてくれてなかった。
この時私は自分の直感で
あぁ。私が求めてる人は雄一じゃない。
歩夢くんなんだ…。
と結論づけた。
私は歩夢くんに
恋をしてしまったのだ。
この感情が恋なのか。
私は初めて
この「恋」という感情の意味を理解した。
そして決断した。
私は意思を固めて雄一にLINEを送った。
「別れよう。」
この四文字だけの言葉に
どれだけの重みが詰まっているのかは
図りかねない。
ただ今まで付き合ってきた
3年間の重みはのしかかっているだろう。
雄一から即座に電話がかかってきた。
それに出ると
なんで…?
なんでいきなりそんなこと言うの…?
そりゃ当たり前だと思いながらも私は
私は雄一のこと好きだけど
「恋」って意味の好きではなかった。
私はやっと恋の意味を知ることが出来た。
雄一は今日
風邪を引いた私を1度でも心配した??
それどころか今まで心配したことあった?
私は1度でも心配されたこと
この3年間なかった。
雄一も本当の意味で
私を好きなのかもわからない。
ごめんなさい。
何を言っているのか私も
分からなくなってきてるけど
私はもう雄一とは居れません。
さようなら。
そう言って私は電話を切った。
これでいいのだ。
私はちゃんとした恋に進むのだ。
こうして私と雄一の3年間の付き合いに
終止符が打たれた。
私が雄一と別れたことは
すぐ噂になり広まった。
もちろん歩夢くんにも。
大体みんな理由を聞いてくる。
けど歩夢くんには
あなたを好きになってしまったから
という理由は
さすがにいうことが出来なかった。
歩夢くんは
いつもと変わらず
私に優しく接してくれた。
そしてしばらく経ち
雄一は新しい彼女を作っていた。
よかったよかった。
と思ってもみないことを呟いていた。
私も歩夢くんと
付き合えればな…
と考え込んでいた。
でも告白する勇気はない。
正直言って怖いのだ。
せっかく初めて好きだ
と思った相手に気持ちを伝えて
もし歩夢くんは何も思ってなかったら
今の仲のいい関係は崩れてしまう。
そう思って私は
今の関係が崩れるぐらいなら
告白しない方がいいと思って
行動にでなかった。
そんなある日。
私は歩夢くんの男友達に
呼び出された。
ちょっと雅ちゃんに手伝って欲しいことがあるんだけど付いてきてくれない??
私は全然いいよ!!
といい彼について行った。
するとそこには
私の友達たちが十何人かが
スマホを構えて待っていた。
え?なんの手伝いするの?
と思いたがら
言われるがまま友達たちの中心に
私は案内された。
するとその友達たちの中から
歩夢くんが出てきた。
なになに??
と思いながら待ってると
歩夢くん真剣な顔をして
私に話し始めた。
俺は雅と出会って話していくうちに
毎日、雅とこうやって楽しく一緒にいれたらいいなと思うようになりました。
俺は雅の笑った顔が大好きです。
これからずっと俺は隣で
雅の笑顔が見たいです。幸せそうな顔が見たいです。
自信はないけど雅を笑顔にする役割
俺じゃダメですか。
こんな俺でよければ
付き合ってください!!!
あともしOKなら
ぎゅうしてください!!!
と言われた。
私は嬉しかった。
まさか歩夢くんが
私を好きになってるとは思ってなかったから。
私は涙ぐみながら
歩夢くんの胸に飛び込んだ。
その瞬間
周りにいた友達たちから
おめでとう!!!
幸せになれよ!!!
とみんなに祝福された。
こんなに嬉しい出来事は
生まれてこの方初めての体験だ。
こうして私は恋が実り
歩夢くんと付き合うことになったのだ。