「そっか。そういえば今日、ホワイトデーだったよね。
睦希なら逆チョコとかいっぱいもらったんじゃないのー?」
さりげなく、自然に、とさっきから視界の端で気にしていたものを見ながら、気になっていたことを口に出す。
こっそり調査スタートだ。
「あぁ、これ?
サッカー部のマネージャー達にもらっちゃった。みんなに配ってたけどね。」
苦笑しながら、紙袋を持ち上げて見せる睦希。
絶対にそれだけの量じゃないよね!?それに、明らかにさっき見かけた部員さんと量が違う。どうせその無自覚な眩しい笑みで、たくさんの人を虜にしてきたに違いない。
ちょっと妬けちゃうな。まぁ、私より可愛い子ばかりなんだから、多分かなわないのだろうけども。
諦めに似た気持ちが、また胸の内を占めた。