「もう、良いのに。睦希(むつき)は部活帰りなの?」

この気づかいは、きっと誰にでも分け隔てなく適応されるんだろうな。そんなわかりきったことを考える。当たり前にそれをやってのける彼は私をどれだけ虜にするつもりなんだろう。


「そう!もうすぐ試合があってさー。

遥陽は生徒会だろ?お疲れ様!」

レギュラーとるの、めちゃくちゃ大変。と笑う彼は私へのねぎらいの言葉も忘れない。

それがどれだけ私の心に響くのか、きっと睦希は予想もできないよね。


そのクシャッと笑う笑顔も私だけに見せてくれたら良いのに、と言ってしまったらどんな顔するかな。
時折顔を出す独占欲は、私にどうして欲しいのだろう。
手に入れたい、だなんて。君に伝えたら、どんな反応をするのかな。


...いや、だめだめ。彼はみんなのものなんだから。