カラン カラン
    カラン カラン



『…またか』


うちにはテレビもラジオもない

別に金がないわけではない

ただ…見ることも聴くことも疲れただけ


カーテンから差し込む光が
屈曲して自分を照らしている事に
なぜか無性に腹がたった


カラン カラン
    カラン カラン



この音一つない冷めた空間に奏でる音色


カーテンを開け
光に目を向けずに
ただただ音のする方に視線を落とす

外を見て日が昇っている事に気付いた


昼か…


朝はどうも苦手だった
だからと言って昼も好きではないが
この時間になると
あたしを起こす音色









それは
物干し竿につかまって
自分の存在に気付いてほしいかのように
一生懸命風に揺れていた