この世の中に
    小さな命が生まれた時

いったいどれだけの人が歓び

どれだけの人が泣いてくれるのだろう


何気ない会話の中で
母は思い出したように言う

あの瞬間から私は母になった
あなただけの味方になったのよ



困った時はいつも
一緒に星にお願いしてくれる

寂しい時はいつも
一緒にココアを飲んでくれる

ボクのママはやさしいママ

ボクのママはあったかいママ




でもね、ママは嘘をついたよ

あの人だぁれ?

ボクだけのものじゃなかったじゃない



今…困ってるよ

ボク寂しいよ…





ママ…




~~~~~~~~~~~~砥祈がそっと病室を覗くと

二人は互いの手を
握り合いながら
すやすやと
眠っていた


きっと

良い夢を見ているのだろう

そう思った






『看護師さん、あの子。みさきちゃん。いつ退院?』

看護師は忙しいですと言わんばかりに溜め息まじりの答えを出した



砥祈は考えていた

未来はどうあるべきか
今はどうするべきか

二人が幸せになる方法

そして



いらない過去を消す方法












ママ、頼みたい事があるんだけど。









砥祈は二人の前から姿を消した