『ききょうタケルです。どうぞ、よろしくおねがいしまぁすっ!』

ここは高見ヶ丘幼稚園。
シキは自分にないもの
自分が出来なかったもの
自分が欲しかったものを
ない頭で必死に一日中考えていた


勉強
友達
おもちゃ
善悪の判断
積極性
そして愛情


幼稚園に通えば
全部得る事が出来る

そう思った結果だった



子供を一人幼稚園に入れるという事は
それだけのお金が必要だという事だ


昨日一日にしてシキは必死であった

アパートに一人暮らしだったということもあり
生活用具も1セットしかない

一度ざこ寝を経験して
ざこ寝は辛いということも理解できた


布団を買い、まくらを買い、茶碗、はし、歯ブラシ、パジャマ、服、タオルなどの日常用具をそろえ、近くの幼稚園での入園手続きを済ませ、バック、制服を一気にそろえた


バタバタ走り回っている中
タケルはシキが何をしたいのかわからないまま

意地でもついていこうと
シキの手を強く握り必死に付いていった