カラン カラン
     カラン カラン



いつの間に寝てしまったのだろう



変な夢を見た

前にも何度か繰り返して見た夢

自分の大事なモノが離れていく夢

暗闇に独り
取り残される夢


だから鈴の音が聴こえた時

雲り空が
一斉に晴れた時のような

そんな気にさえさせてくれた



まだ寝ぼけているのだろうか

そこにいるはずの
タケルの存在がなくなっていた


まぼろし…?


起き上がろうとすると
体中に電流が走ったような痛みが駆け巡った

昨日の階段が原因。

筋肉痛であろう

まさかこれがタケルの存在の証になるとは…



『逃げたか…』


ここにいるもいないも
タケルの自由

あいつの
タケル自身の人生だ

そう思いながらもなぜか落ち着かない


気付けば足は外へ

シキは玄関を飛び出していた