階段をようやく半分上ったところで目線をあげると
一匹のネコと目が合った

そのネコは首輪をしていて
飼い主がいる事は一目でわかった


今までに見たことがないくらいの
きれいで真っ白なネコ



『逃げてきたのか?』


     ………。



カラン カラン
    カラン カラン



ネコは鈴の音を響かせ
消えてしまった



     ………?



その鈴の音で
首輪に鈴がついていた事を知った




『ママ……ママ……』




タケル…
あたしはあんたのママほど価値はない

でも……
でもさ……
もう少し
ほんの少しだけ



   生きててやっても

   いいんぢゃない?





階段を上り終えると
遠く…どこか遠くから鈴の音が響いて耳に残った

部屋に入りたけるを布団まで運ぶと
今までの疲れがドっと自分に降りかかってくるのがわかった


シキはそのまま倒れるように眠りについた






カラン カラン
    カラン カラン