『――の公園まで』

タクシーに坊主を抱き抱えながら乗る


只野から受け取った金を数える

    “20万”

携帯を開くと只野からのメール

『その金でちゃんと借金払うんだよ。困った時はまた払ってあげるから、悩んでる時はいつでも相談してね♪僕がリョウを守るよ!!』






    毎度あり





タクシーがつくと
坊主を背負い
アパートまで歩き出した


あたしがここまで
アパートのボロさに
嫌になった事があっただろうか

『クっソ!!ボロアパートめ!!エレベーターぐらい作りやがれ!!』


体力に自信のあるあたしも
坊主一人担ぐとなるとさすがに厳しいものがあった



重い。


これが人の重さか…


生きている証なんだ


“おまえ痩せすぎ!!ちゃんと中身入ってんの?!”


いつしか客が言った言葉

あたしはいつだって誰かに寄り掛かろうとはしなかった


人の重さが生きている証なら

そんなものあたしには必要ない

生きる事も
死ぬ事も

あたしにとっては同じ事だから