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天候 雨


『おかぁさぁぁんっ!?おかぁさぁぁんっ!!うぅっく"っっ…嫌だっっ…いかないでっ!!いかないでぇ――…ぅ"っっぐすんっ』

『お母さんは?』

『……』

私は答えたくなかった
答えたらお母さんがいないという現実を認めてしまう気がして
嫌だったんだ
私はその質問をどしゃぶりの雨のせいにして聞こえないフリをした





……………?!


幼い私は
一瞬何が起きたかわからなかった
が、すぐに状況は飲み込めた


自分と同じくらいの年の男の子が
自分を抱き締めていた



固まる身体

乾く唇

震える手足


頭が真っ白になっていると

『怖がらないで。僕が…僕が君を守るよ。』


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今でも思い出すこの映像

あの日以来
その子はあたしを守ってなんかくれなかった…
次の日
あたしの前に現れたのは
彼ではなく知らない男だった

“今日からお前の父親だ”

私はその日から父親だと名乗る男の性処理の相手となった

でも…それでもあの日
独りじゃなかったあの日だけは
救われたんだ



あの子は今
どこで
何をしているんだろう