千夏は悩んでいて、俺はやってくれるかドキドキしていた。
そこで霜村が、「やれば?」と、言ってくれた。
意外といいやつじゃないか…。
「ドレスもあるし」と言って、俺の手元のドレスを見た。
明らかにニヤニヤしている。
これは、俺が千夏を好きだとバレたな。
「でもさぁ、キスシーンあるんでしょ?」
千夏が聞いた。
「フリだから、大丈夫。寸止めだし。本当にしたら、千夏のファンに殺されるから。」
「フリでも殺されるんやない?」
「大丈夫よ。この学校の中で1番マシなのは入野くんなんだし。」
「まあ、王子様は入野が適してるかもしれへんな。」
意外とひどいこと言ってるような気もするが気にしないでおこう。
「で、千夏。やってくれるか?」
「えぇ〜。」
「甘いものがあるんだが…。」
「やる。」
「よし。劇は午後からで、1回だけだから。
これ台本。読んどけよ。1時になったら、1―3来て。
劇は2時からだけど、ドレスとか、ヘアアレンジとかあるから。よろしく。」
俺は、じゃあなと言って、その場をあとにした。