絶対こいつらより、俺の方が千夏を好きだし。
じゃなくて。
千夏を狼に千夏を教室から出してもらった。
「お前ら、これはどういう事だ。」
「…男子が、入野くん達がいなくなった途端に千夏ちゃんに話しかけてました。」
入野とは、俺達のことだ。
入野昂輝、入野狼。双子だから、苗字で呼ばれることは少ない。
「…なんでこうなった?」
狼が聞いた。
「女子が佐野さんを私達のって言うから…。」
「…へえ?」
「私達の…、ねえ。」
女子の方に目線をやると、
「…あれは、つい出た言葉で。ていうか、入野くんだって、抱きつかれてたじゃん!千夏ちゃんは皆のでしょ!ちょっとかっこいいからって、入野くん達ばっかずるいよ!」
そうだそうだとみんな言っている。
「幼なじみだし。ねえー?」
「幼なじみの特権ってやつなんだよ。抱きつかれてたのはずるいけど。」
「仕方ないよね。千夏が俺を抱きしめたんだしー。」
千夏のことだから、あの三人の誰でもよかったんだろうな。
でも、あの中でも俺を抱きしめてくれて、よかった。
今度どさくさに紛れて、俺も抱きしめちゃおうかなー。
そしたら千夏はどんな顔をするんだろう。
楽しみだな。