もしかしたら、私に会うために公園に来てたんじゃないのか。
そんな都合のいい解釈をしてしまう。


毎日寄るのが日課なのかもしれないし。
帰り道に公園通り抜けていくのかもしれないし。
私が来るかもしれないからって。
そんな可能性の方が圧倒的に低いのに。
期待せずにはいられなかった。


またどきどきしてきた。
さっきよりずっと、どきどきする。
吹く風の冷たさが赤くなった頬に心地よくて。
変な期待が、私を少し大胆にさせた。


「あの、伊澄くん。」


「な、なに?」


「あの、その。伊澄くんって、付き合ってる人とかいるの?」


「えっ!?
 いないよ、そんな人!」


「そ、そっか!!」


「……小笠原さんは?」


「え、いないよ!私も!」


「そっか……。」


伊澄くん付き合ってる人いないんだ。
告白もしてないのに失恋、なんて。