伊澄くんはさらに顔を赤くしてリンゴみたいになってたけど。
私の姿を見ておかしくなったのか。
変わらないくらい大きく笑っていた。


目に涙がにじんでくるくらい笑った時、
伊澄くんが全力で笑っていることに気付いた。
こんなに笑ってるの、初めて見た。


その無邪気に笑う姿がかわいくて。
その笑顔にドキドキして。
胸がぎゅってなった。


目じりに皺が出来てて、目が三日月型になってる。
笑った時に見える歯は白くて。
きゅっとあがった口角がかわいく感じた。


笑いが収まったと思ったら。
お互いの顔を見てまた笑って。
それを何回か繰り返した。


不思議、たった1日なのに。
こんなにも伊澄くんに近付いた。
たくさん伊澄くんの事知れた。


伊澄くんのプロフィール欄がどんどん埋まっていく。
空白の欄がどんどん減っていく。
それが心地よくて、また心が軽くなる。


好きだなあ、すごく。
大好き。


この後館内には別々に戻った。
私達がふたりで居たことは誰も知らない。
念を押さなくても、伊澄くんは言わない。
あの時間を誰かと共有したくなかった。
私たちだけの秘密。


内緒の響きがくすぐったくて。
早く明日の朝になって、それだけをずっと考えた。