真っ青な空に、しらす雲が浮かんでいた。
青いキャンパスに白いペンキをのばしたみたい。
綺麗だな……。


あ、あっちはふわふわわたがしみたいな雲。
あれは、アイスクリームに似てる。
あ、あれは、すみれ?
じゃあそのお隣は高橋くんかな。


あの雲はうさぎにみえる。
あれは、伊澄くんっぽいかも。


ふわふわのひとつだけ大きな雲。
私の伊澄くんへの想いの大きさ。
他の人が手のひらくらいなら。
伊澄くんは両手でも足りないくらいだ。


真っ青だった空はだんだんとオレンジ色に変わってきて。
気付けばもう何時間もこうやって空を眺めていたことに気付く。
携帯で時間を確認すると。
いつも家についている時間帯だった。
もうそんなに経ってたんだ。


公園中を見渡しても。
人ひとりいなくて。


伊澄くんも、来なかった。


そりゃあ、そうだよね。
そんな都合よく来てくれるわけないよね。
今まで会えてたのだって奇跡みたいなものだったんだから。


いつも、伊澄くんがこの公園にいて。
足を踏み入れたらここに座ってた。
あの日も。
ここで私が来るの、待ってたのかな。