それから知らなかった君がどんどん増えていって。
好きなもの、好きな色、家族の事。
たくさん知っていった。


忘れないように脳内で何度も再生して。
家に帰ったらメモまでして。
もう何も見なくても言えるくらい。
それくらい、君の好きをリピートした。


君がほかの女子と話しているのを見るだけでももやもやして。
自分は何もしていないのに。
一人前にヤキモチ焼いて。
バカみたいだって思いながらも。
憶病な私は前に進めなくて。


君の好きな人は誰なんだろうって。
気になるけど聞けなくて。
君の好きな人が私だったらいいのにって。
君の好きな人に好きな人がいればいいのにって。
そんな醜い事ばかり考えてしまった。


だから決意したんだ。
想いを伝えるって。
テストでいい点数取るなんて安直な制約だけど。


それでも私の精一杯で。
達成した時、どきどきしながら君のもとへ向かった。


あの日の事は忘れない。
いちばん世界が輝いて見えた日。
奇跡が起きた日。
君が私を好きだと言った日。
夢がかなった日。
好きな人の、好きな人になれた日。


片想いを卒業して。
両想いになった、記念日。
あの夏の日を、私は一生忘れない。