「一時期噂流れた時、ほんとはあれ噂じゃなくて本当の事だと思ってたし。だからあんなに必死になって隠してると思ってたんだけど。必死なのは伊澄と付き合ってたからなんだね。」
「こんなに近くにいたのにうち全然気付かなかった~!」
「俺は知ってたけどね。」
さらり、苑田くんが言い放った。
「凛久、知ってるなら教えろよ~。」
「ふたりが言いたがらないものを、第三者が言えるわけないだろ。」
「隠さなくったっていいじゃん!トリプルデートとかしたかったし!」
「お前らみたいにオープンなのが好きじゃないってやつらだっているだろ?小笠原さんと彗はそうやって詮索されるのが嫌だからこうやって黙ってたんだろ。」
言いたい事、全部苑田くんが言ってくれてる。
何かあったら力になるって。
本当の事だったんだ。
「みんなには受験が終わったら言おうとは思ってた。俺らこういうの初めてだしその噂になるとか嫌だったから。だから、隠してたわけじゃないんだ。」
丁寧に、伊澄くんが弁解してくれる。
ふたりも説明してくれる人がいて。
こういうの苦手な私に配慮してくれて。
心が温かくなる。
「別に攻めてるわけじゃないけどさ~。うち的には友達なのに隠されてたのがショックっていうか。」