「受験の時目に入る所に置いておくね。」
「俺も、時計の隣に置いとく。」
これで頑張れそう。
お守りに触れただけでパワーを貰った気になる。
なんて、気のせいだと思うけど。
「この後どうする?」
「ん~、今すごく勉強はかどる気がする。」
「俺もそう思った。」
「お家、帰ろっか。」
「そうだな。」
受験が終わったらいっぱい遊べる。
だからそれまでは我慢。
我慢した分、きっと終わってから遊ぶのが楽しいから。
だから今は、我慢する時。
伊澄くんの顔を見上げれば。
私を見て微笑んでくれて。
この時間が、たまらなく幸せだった。
「あれ、真子?」
「え、小笠原?……マジだ、いた。隣って……え、彗!?」
見知った声がする方を振り向くと。
少し離れた所にすみれと高橋くんがいた。