こんな偶然、ある?
おかしくなってふたりで笑い合う。


変なの、先につきたくって。
これじゃあ待ち合わせの時間の意味なくなっちゃうじゃん。
ほんと、おかしいんだから。


笑いはしばらく収まらなくて。
駅でふたり、笑い合った。


「真子ちゃん意地っ張りな所あるよね。」


「それは彗くんもじゃん。」


「俺はそんなにでもないよ。」


「だって同じことしてるじゃん。」


「男は女の子より先に待ち合わせ場所に着いてるものでしょ?」


「ええ~そんな決まりないよ。」


「男の世界ではあるの。」


「なにそれ~。」


3日になっても参拝客は多くて。
石段に人が列になって並んでいた。


その列に並んでいる間。
片方の手には手袋。
もう片方は手を繋いで。
伊澄くんのコートのポケットの中にしまった。


この距離間も、もう慣れてきたなあ。
最初はどきどきして手を繋ぐのも一苦労だったのに。
今じゃ全然、心地いいくらい。