もうリビングへ入っていくお母さんの姿が見えた。
「……ありがとう、お母さん。」
そう呟いて、私は家を後にした。
待ち合わせはいつもの駅。
今日は私の方が早いかも。
花火大会の時は先に伊澄くんが来てたけど。
まだ待ち合わせの20分前だし。
私の方が先につく。
駆け足で待ち合わせ場所に向かうと。
まだそこには伊澄くんの姿はなかった。
やった、一番乗り!
そう思って駆けていくと、反対側から走ってくる人が見えた。
あれって、うそ!
「す、彗くん!?」
「真子ちゃん!?」
反対側から来ていたのは伊澄くんで。
まさかの、一緒なタイミングで待ち合わせ場所についてしまった。
「……まだ待ち合わせの時間前だよ?」
「それは真子ちゃんだって。」
「先に、着きたいなって思って。」
「俺も、先に来てたいって思って。」
どっちも先についていたくて早く出たら。
一緒なタイミングで待ち合わせ場所についちゃうって。