久しぶりに、目が合った。
そして初めて、抱きしめられた。
華奢な体つきからは想像できないくらい強い力で。
腕はちゃんと男の子で。
感じた体温は温かくて。
包み込んでくれたぬくもりをずっと忘れない。
私たちはまだ子供で。
ゆっくりな歩幅でしか成長できなくて。
それでも、確実に前へ進んでいて。
このまま時が止まればいいのに。
この幸せな時間がずっと続けばいいのに。
そんな夢物語ばかり考えてしまう。
勘違いの噂から。
お互いの思いを伝えられなくて。
何が本当かもわからなくて。
ただただ、洪水のように溢れる情報に流されて。
知らぬ間に相手を傷つけてしまった。
それからすれ違って。
話す事も、目を合わせる事も出来なくなって。
まるで他人のように。
付き合う前に戻ったみたい。
伊澄くんがいない世界はモノクロの世界みたいで。
なにをしても楽しくなかった。
もう、伊澄くんがいないと私。
なにも頑張れないのかもしれない。
それくらい伊澄くんの存在は私の中で大きくて。
手放したくない。
それくらい、大切でかけがえのない。
そんな人だって。