ぽたぽた涙がこぼれて止まらない。
呼吸も浅くて、話すの辛い。
でも、止まらない。


今話さないと伝わらない。
お願い聞いて伊澄くん。
私が好きなのは。
どうしようも好きなのは。


「伊澄くんっだけなのに……!」


「っ……!」


手を引かれ、勢いよく抱きしめられる。
顔を押し付けられ伊澄くんの匂いがいっぱい広がる。


抱きしめる力は強くて。
苦しそうな声を上げる伊澄くんがいる。
それがまた辛くて。
私は抱きしめる腕の力を強めた。


避けられてる時、どうしようもなく辛かった。
噂になって陰で何かを言われるより。
男子にからかわれるより。


そんなことどうだってよくなるくらい。
伊澄くんに嫌われたかもしれないって思う方がつらかった。


でも伊澄くんは。
私の事を下の名前で呼んでくれて。
転びそうになったら咄嗟に助けてくれて。
初めての詰まったプレゼントを大切に持っていてくれる。


そして今、抱きしめてくれる。


不器用ながらに伝わる優しさと愛情。
むせかえるほどに想いが伝わってくる。


嫌われていなかった事実に。