「っ小笠原さん!!」
転ぶ寸での所で伊澄くんが腕を掴んでくれて。
私は転ばずに済んだ。
その時、チャリンっと金属が擦れ合う音がした。
音のする方へ視線をもっていくと。
「……っ。」
携帯にストラップがついていることに気付いた。
私が誕生日プレゼントに渡した、彗星のキーホルダー。
ちゃんと、つけててくれてる。
「……っ好き!」
「っ……。」
「伊澄くんがっ、彗くんがっ、好きなの!!」
今まで我慢していた涙が溢れだす。
隠しきれない、伊澄くんの優しさが伝わって。
私は声を荒げて泣いた。
不満も不安も、全部吐露した。
「私は伊澄くんが好きなのにっ。
苑田くんは夜道が危ないからって送ってもらっただけで本当に何にもなくてっ。
本当は、送ってもらうのも伊澄くんが良かったのに。でもそんな事言えなくて。
噂になったの、からかわれるの嫌だからすごく恥ずかしくて。でも、噂になるなら伊澄くんとが良かった……!
なのに、伊澄くん全然こっちむいてくれなくて。目も合わなくて、避けられてるって分かった時すごくつらくてっ。
私何かしたかなって不安で、どうしたらいいのかっ分からなくてっ。」