それでも走った。
今は知らないと後悔するから。


公園の入り口抜けた先。
ブランコのある所。
ひらけた視界にひとり。


会いたかった人が、そこにいた。


「伊澄くん……、彗くんっ!!!」


私の声を聞いてびっくりした伊澄くんは。
ブランコを飛び降りて出口へと走った。


「待ってっ、彗くんっ、お願い!!」


やっとの思いで伊澄くんの袖を掴んだ。
名前を呼ぼうにも息が続かなくて。
息切れで声が出なかった。


「離して、真子ちゃん。」


「す、い……くっ」


離してほしいのに。
どうして今も名前で呼ぶの?
伊澄くんの態度から優しさが見え隠れして。
私だってどうしたらいいのか分からなくなる。


「……ごめんっ。」


力任せに私の腕を払いのけた伊澄くんの行動に。
私はついていけなくてその衝撃で後ろへ倒れそうになる。


「わっ。」