「だって彗、小笠原さんの事好きだから。」


「そんなの今は違うかもしれないじゃん。」


「違わないよ。好きだから避けるんだよ。」


「……どういうこと?」


「それは、本人に聞きなよ。」


「話、できないんだもん。避けられてて。」


「……俺さ、好きな人いるんだよね。」


ペンを走らせるのをやめた苑田くんは。
唐突にそう口にした。


「えっ……。ごめん、噂。」


「いや、そう言うの気にする人じゃないから。」


「……そっか。」


それでも申し訳ない事した。
苑田くんとの事勘違いさせてしまって。
ふたりの恋路の邪魔しちゃってたら……。


でも、苑田くんに想われてるなんて。
その子、すごい子だなあ。
苑田くんが好きだっていうんだから。
噂なんかに惑わされたりしないのかも。


「でも俺の好きな人には好きな人がいるんだ。」


「え。」