「凛久、入らないの?」
「ちょっと、こっち。」
苑田くんと伊澄くんが教室から出ていったことで。
張りつめた糸が切れたように息がしやすくなった。
ファンの子たちは威圧感から解放されたからか。
ぺたんっと床に座り込んでいた。
その後、キッと私の方を睨んで自分の席へ戻っていった。
「とりあえず誤解解けて良かったね。」
「苑田があの調子なら真子たちの噂もすぐなくなるよ。」
「そう、だよね。」
「なんかあったらうちらが守るし!!」
「ありがとう。」
ぎこちなく笑って返す。
でも、噂よりも。
伊澄くんの方が気になる。
誤解、されてないといいんだけど。
その後、伊澄くんと苑田くんは始業のチャイムぎりぎりに戻ってきて。
伊澄くんに声をかける暇もなく。
1日が始まった。
その日は散々だった。
噂は1年から3年全員に広まっていたらしく。
休み時間の度に苑田くんのファンの子たちが教室を覗きに来ていた。
私の姿を見ては。
「こんな子が?普通じゃん。」