みんなの視線が集まったことが不快に感じたのか。
苑田くんはその綺麗な顔を歪めた。
その仕草にみんなは視線を逸らしたけど。
それでも気になるようでちらちらと苑田くんの方を見ていた。
その中で、苑田くんのファンの子たちが。
勇気を振り絞って苑田くんに訪ねた。
「あ、あの!小笠原さんと付き合ってるって本当ですか!!」
「は?なにそれ。」
「ふたりが夜一緒に歩いてたの見た人がいるって!!」
「一緒に歩いてたら付き合ってんの?」
「そ、それは……。」
「でも、夜に一緒なんておかしいよ!!」
「一緒な塾行ってて帰りが一緒な方向なんだから。一緒に帰るのって当たり前じゃない?」
平然と、それでいてイライラしている苑田くんの態度は。
離れた場所にいる私ですら威圧的に感じた。
真正面に立っている子たちからしたらもっと怖いだろうな……。
正論を突きつけられたファンの子たちは何も言う事が出来なくなって。
そのまま俯いてしまっていた。
その様子に呆れた苑田くんは大きくため息をついた。
その時、後ろからひとりの人物がやってきた。
「どうしたの?」
「彗。」