「もしかしてこれ買ったからりんごあめ買えなかった?」
「えっと、その……。」
「今からって、もうやってないか。」
「いいの!べっこうあめ食べられたし!」
「でも」
「平気だよ!電車の時間もあるし。」
納得のいっていない伊澄くんを説得して。
私たちは駅へ向かった。
どちらともなく手を握って。
もう離さないように。
はぐれないように。
強く、握った。
「また来よう。」
「えっ。」
「来年は、りんごあめ食べよう。」
「……っ、うん。」
よかったって笑う伊澄くん。
ねえ、伊澄くん。それ意味分かってるの?
ちゃんと分かってて言ってるの?
来年って。
それってさ。
来年も私と一緒に行ってくれるってことだよね。
来年も私、伊澄くんの隣にいられるの?
彼女で、いられるの?