「小笠原さん、大丈夫!?」
「だ、だいじょうぶ……。
ごめん、力抜けて……。」
「両手、出して。」
言われるがままに両手を差し出すと。
両方の手首を掴まれ、伊澄くんの方へ引き寄せられた。
ぐっと引っ張る力は強くて。
ひと1人分も開けない距離で。
私たちはまた向かい合った。
力、男の子だ。
びっくりして涙も止まって。
力の強さにまたどきどきする。
「小笠原さん。」
「は、はい!」
「俺と付き合って下さい。」
「……っ、はい!!」
そう答えた後の伊澄くんは笑っていて。
無邪気に笑っていて。
ああ、この笑顔が好きなんだ。
またひとつ、伊澄くんが好きになった。