「あの……これ。」



「ああ、目元が赤いので泣いていたのかと思って。」



「えっ。」



「何か辛いことがあったのなら、思い切り泣くといいですよ。
 ここは人の通りが少ないので、誰にもバレません。」



そう言われて、今まで我慢していた涙が頬を伝ってこぼれ落ちる。
優しい気遣いが嬉しくて。
失恋の痛みと共に、涙を流して訴える。



「わ、私、今日好きな人に告白して。
 でも、振られちゃって……。
 すごく、好きだったんです。」



好きだった、すごく。
釣り合わないことくらい自分がよく分かってる。
彼女になれる可能性なんて、ほぼなかった。


それでも1%に縋りたくて。
叶うなら、先輩の彼女になりたかった。


中学校に入学して初めて声をかけてくれたのは先輩で。
迷子になった私を助けてくれた。
不安になって泣きだした私の背中を撫でてくれて。
優しく手を引いて体育館まで連れて行ってくれた。


部活紹介で先輩だってことを知って。
迷わず同じ部活に入った。
その時、迷子の子って気付いてくれて。
それもあってか他の子より手をかけてくれた。