「これは、優さまが病院に運ばれた際に握っていたものです。」
「ほんとに…?」
優、野球なんかしたことなかったのに。
一体何があったんだろう…?
「私がお世話をしますので、可憐お嬢様はお家にお戻りください。学校もありますし。」
「でもっ…」
「大丈夫です。お任せください。」
葉山さんはにこりと笑うと私の背中を押した。
「ごめんね。ありがとう…」
病室を去るとき、優がさっきよりも安定したのを確認して、ゆっくりと扉を閉めた。
「優の容態が急変?」
「うん。なんか野球やったみたいなんだよね。」
お風呂に入ったあと、小森くんの部屋で優のことを話した。
小森くんは、優とすっかり仲良くなったらしく、今では「優」と「爽太」の関係らしい。
てか優が呼び捨てで呼んじゃうのってどうなのよ。
「野球…」
「なに?何か心当たりあんの?」