「あのね…小森くん…私…っ」
「ちょっと待って。」
小森くんは喋りだした私の口に、人差し指を押し付け
言葉を阻止した。
私ではなく、私の後ろに立つ
ゆかりちゃんに目を向けた。
「あんた、出てってくんない?」
「え?どうして……
「いいから。今すぐ、出ろ。」
見たことのない冷たい瞳。
私の知ってる小森くんではない
小森くんで……
背中が凍り付いた。
純粋に、怖いと思った。
ゆかりちゃんも、その冷酷さに怯んだのか
身を翻し、ヒールの音を響かせ
姿を消した。
居なくなったのを確認すると、
小森くんは私へ視線を戻し、
じっと見つめた。