パッと目が覚めると,


――そこには誰もいない。


「やっぱり…夢か。」


そう思って体を起こすと,


パサッと何かが落ちた。




「…嘘……」



それは,紛れもなく
小森くんのブレザーで。


「夢じゃ…無かったの?」


私の瞳から,涙が溢れた。


どうして?
どうして謝ったの?


どうして起こしてくれなかったんだよ。


そしたら…そしたらちゃんと話せたのに…っ!


落ちたブレザーを拾い上げ,
小森くんの甘いコロンの香に顔を埋めて泣いた。



「…また,泣いてんの?」