「無理だよ。私達,恋人同士だもん。
せいぜい親の代わりに,あんたが罪滅ぼしすれば?」


「……っ…!」


ゆかりちゃんは私を強く睨み付け,店を出ていった。


私はもうただパニックで
今の状況が理解できない。


―小森くんが,離れていく。


ただその言葉だけは,認識するこができた。


私は…またひとりぼっち?


わからない。わからないよ…


泣きそうになった私の代わりに
空が泣き出した。


ガラスにぽつりぽつりと水滴がはりついては流れる。


私は両膝の上でグッと拳を握り締め,下を向いた。


頭の中には,小森くんの優しい笑顔。


目の前にあるのは
手を付けられないアイスティーだけ。