「お待たせいたしました。」


丁寧に置かれるアイスティー。
ひんやりとした冷たさがグラスからの汗で伝わる。


一足早く着いた私は,さきに注文をして待つことにした。


私の左側にあるガラス越しに見える空はやっぱり今にも泣きだしそうで

やけに胸がざわついた。


―傘…持ってないや…


そう思っていた矢先,


「こんにちは。」


ふと私に重なる影が見えて
顔を上げた。


そこには,さらさらのストレートの髪を耳にかけながら微笑むゆかりちゃんがいた。