「あ…そういえば私,自分の部屋の片付け終わってなかったのでー…優!また後で来るからねっ?!」


「お姉ちゃ……


―パタンッ


ふぅ〜…危なかった。
また小森くんにからかわれるところだったよ,うん。


まぁこんな嘘で通じるわけな…


「なんで逃げるんです?」


…いけどね…?



ゆっくり声の方に振り向くと
小森くんが不適な笑みを浮かべて私を見ていた。


「に…逃げてないけど…?」


「そうですか。なら…」


小森くんは私の手を取り,廊下の隅に引き寄せた。


そして親指の腹で私の頬を触る。


「なんで泣いてたの?」


「……っ!!」


私はいつの間にか涙を流していたことに気付き,慌てて小森くんの指を払った。