「案ずるな風見さん。
山崎が見廻組の動きを見通して、
そう言っていただけだ。
新撰組がその件に関してどうこうするつもりはない。」
「土方さん。
拙者の口からは何も申し上げられぬ。」
「フッ。あんたらしいな。」
監察の山崎烝か。
新撰組で唯一無二の情報屋。
“山崎無くして新撰組動かず”
とも言われる男だが、
まさか我ら見廻組も監察されていたとは。
「土方さん、貴重な山崎を我ら見廻組に向けていてよろしいのですか?
伊東甲子太郎が結成した御陵衛士を放っておいても大丈夫なのか?」
「あんな奴ら、何も恐れることはない。
放っておいて十分だ。」
「そうですか。」
「引き留めて悪かったな。
総司はいつもの部屋だ。」