いろは丸沈没事件で、
僕達紀州藩と、坂本龍馬が作った“海援隊”なる貿易商の集団が揉めに揉めてしまいました。
坂本は国際法なる約定を主張し、
結局僕達紀州藩は、
多額の賠償金をあいつらに払ったのです。
船を失ったのは僕達も同じなのに・・・。
だから三浦様や藩の上層の方々が怒るのも無理は無いのですが・・。
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「香山、京へ行け。
坂本は風の如くその姿が掴めぬ男。
だが必ずまた京に現れるはずだ。」
「わ、私め1人ででございますでしょうか?」
「何も案ずる事は無い。
あのような口ばかり達者な男など、
お主1人で十分だ。」
「しかし・・。
坂本は西洋の飛び道具を使うとの話を聞いたことがございます。」
「そんなもの恐るるに足らん!
あいつが酔った所を襲えばいいのだ。」
「は・・・はぁ・・。」
「良いか。“紀州藩士”ということを周りに悟られてはならぬぞ。
京で密かに坂本の居所を探り、殺すのだ。
お主が京に何日でも滞在できるように、
金はかき集められるだけかき集めた。」
「み、三浦様!
このような大金を私めが・・・」
「香山、
“坂本は見つかりませんでした”
では済まさぬぞ。
奴を斬るまで、
紀州には戻ってくるな。」
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