・・・・・・・来た。
「お侍さん、薬はいかがかえ?
お安うしますよ。」
橋の向こうから歩いてきた斉藤殿は、私の声掛けにその足を止める。
「・・・何を売っている?」
「へぇ。
あっしは“石田散薬”を売っております。
これを飲めば、
どんな流行り病もすぐ治りますよ!」
「・・・・・1つもらおう。」
「へぇ!ありがとうございやす!
いやぁ~お侍さんはお目が高い!」
斉藤殿に薬を渡し、銭を受け取る。
「君が、副長が言っていた“影”か・・・。
任せたぞ。」
「へぇ!
またどうぞよろしくお願いしやす!」
斉藤殿はまた歩き出していった。
銭と共に渡された、
小さく折り畳まれた紙を懐に入れる。