「龍馬は違ったんだ。」
「は?」
「龍馬は、自転車が壊れたのは脇道から急に飛び出してきた僕が悪いと言い張ったんだ。
そして自転車代を僕に請求してきた。」
「おいおい、
坂本龍馬も結構強引な男だな。」
「何度も話し合いをしたけど、
龍馬はうまく周りの人間にも根回ししたり、
“国際法”と呼ばれる法律も持ち出して、
“僕が悪い”という展開に持ち込み、
結局僕は弁償金を払わされることになった。
これが“いろは丸 沈没事件”。
自転車=船、僕=紀州藩だと思ってね。」
「紀州藩は、いちゃもんつけて弁償金を払わせてきた坂本龍馬を恨んだって事か。」
「実際、龍馬が殺された後、
龍馬の仲間達が、
紀州藩士 三浦 休太郎を襲撃する、
“天満屋事件”というのが起きたんだ。
当時、龍馬の仲間達も紀州藩が犯人だと思ったらしい。
結局誤解だったという話で落ち着いたみたいだけど、
僕達は本当に紀州藩が龍馬を殺したという説も有りだと考えたんだ。」
「金の恨みは怖いからなぁ。」