「あっし、たまたま昨日はこの辺りで商いをしていた者です。」
「・・・お前は、行商人か?」
「へぇ。あっしは薬を商いしております。
それで商いを終えた後、夜遅くまで酒を飲んでからここの前を通ったのですが、
何やら怖そうなお人が近江屋に入っていくのを見たんです。」
「それは誠か!?」
「へぇ。えらい雰囲気が怖かったので、
よく覚えてます。」
「顔は見たか!?
その男、何か他に特徴は!?」
「それが・・・。」
行商人は、周りを気にしながら、
小声になる。
「朝になってこのような騒ぎになり、
あっしも野次馬見物していたところ・・
その男が先程現れたんです!」