「お主、
島原にいる“蝶野太夫”を知っておるか?」



「へぇ。あっしのような貧乏人は、

お店へとお入りされる太夫さんを外で眺めることしかできませんが、

蝶野太夫の美しさは一度見たら忘れません。」



「うふふふ。そうであろう。

僕は、その蝶野太夫と夫婦になる契りを結んでいる者だ!」



「・・!?それはそれは・・・
大変おめでとうございやす。」



「だけど、僕からお蝶ちゃんを奪おうとしている男がいる。

汚い手を使い、番頭をも言いくるめ、

店が一丸となり僕を陥れようとしているのだ。」



「それはひでぇ話ですな。」