「お待たせ致しました。」 障子の向こうから、お蝶の声が聞こえる。 「入れ。」 そそくさと部屋に入ってきたお蝶は、 外を一瞥しながら襖を閉めた。 「・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・。」 しばらく俺の目を見つめるお蝶に、 “うむ”と無言で頷く。 「・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・。」 お蝶は俺の前まで来ると正座をし、 額が畳にこすれるかという程、頭を下げる。