「岩木。」
「はっ。」
土方先生は密書を提灯の火に投げ入れる。
「御陵衛士は坂本龍馬の潜伏先を掴んだようだ。
明日、闇討ちをかけるらしい。」
「それで斉藤殿は急遽私を呼んだのか・・。
して、場所はどこでございますか?」
「三条河原にある旅籠、“上野屋”だ。」
「“上野屋”でございますね。」
「以前に斉藤が知らせてくれた通り、
伊東は坂本を暗殺した後、
下手人を俺達新撰組に仕立て上げる腹だ。
つまり、坂本の死体の傍に、
新撰組に繋がる物証を残すはず。
岩木、お前は明日、御陵衛士に張り付き、
奴らが“上野屋”で事を済ませた後、
すぐ現場へ入り、その物証を隠滅しろ。」
「はっ。」
「・・・伊東の思い通りには決してさせねぇ。」